
【曽我部キキョウ】納涼「百物語」、もう古いですか?
かつて夏と言えば怪談でした。
柳の木の下の幽霊に始まり
トンネルをくぐる車の後部座席、
など、枚挙に暇がありません。
比較して、冬場の怪談と言えば、
雪女や山の怪異の話ぐらい。
一体この差は何なのでしょう。
そもそもなぜ夏に怪談かというと。
まずは涼感効果。
怖い話で背筋をゾッとさせ、
心理的な感覚で涼をとります。
日本独自の文化的ジョークとも
言えるかもしれません。
また、お盆と言えば
先祖の霊が帰ってくる時期です。
日本はもともと、
死者の霊と季節の行事が
結びつけられることが
多かったそう。
また、夏は日が長く、
夜でも外に集まりやすい季節です。
江戸時代の寺子屋や
明治の寄席などでは、
夜に集まって話を聞く機会が増え、
その中では怪談が人気だったとか。
このような理由から、
怪談と言えば夏、になったのですね。
一方で冬は寒いので
背筋も凍る怪談はご免被る、
ということ。
お盆でもないですしね。
では、今の子どもたちは
集まって怪談に
興じているのでしょうか。
答えはイエスであり、
ノーでもあります。
子どもが集まること自体が
減少している昨今、
友だちの家で百物語、
という光景はないでしょう。
しかし、リアルな動画で
ホラーを楽しんでいます。
また、学校の休み時間に
都市伝説を語り合ったり、
ネットの「本当にあった怖い話」を
見せあったり、ということは
あるようですね。
結局のところ、怖いものを
共有して盛り上がる、という
不思議な欲求は健在です。
ただ、形は時代とともに変わっていく
ということなのでしょうね。
かつて聞いた怪談、
時代を超えて
残るといいのですが、ね。