
【龍空】なぜ月見にすすきを飾るの?古来から伝わるお供えの理由
月見に欠かせない「すすき」のお供えの意味
十五夜といえば、美しい満月を眺めながら月見団子をお供えする風習が思い浮かびます。そんな月見のお供えに欠かせないのが「すすき」です。団子と並んで飾られるすすきには、見た目の秋らしさだけでなく、古くから受け継がれてきた深い意味が込められています。
もともと十五夜は「中秋の名月」とも呼ばれ、古代中国から伝わった月を愛でる行事が日本の風土と結びつき、収穫への感謝を捧げる祭りとして広まりました。このとき、稲の収穫を前にした日本では、月に感謝を込めて「稲穂」に似た植物を供えるようになりました。それが、秋の野に穂を揺らす「すすき」だったのです。
すすきは「穂」が稲に似ており、豊作を祈る「稲穂の代わり」として飾られてきました。また、すすきの葉は鋭く尖っていることから、古くは「魔除け」の力があると信じられていました。そのため、月見のお供えとして飾るだけでなく、月の神様を招き入れ、災いを遠ざける守り草のような役割も果たしていたのです。
さらに、十五夜の翌日「十六夜(いざよい)」には、すすきを軒先に吊るしておくと一年の無病息災をもたらすという言い伝えもあります。すすきは単なる飾りではなく、月の神様と人々をつなぐ神聖な植物とされてきました。
現代では、スーパーや花屋でも月見用のすすきが手に入り、気軽に飾ることができます。月見団子と一緒にすすきをお供えすることで、古来から続く「月に感謝し、自然と共に生きる心」を感じることができるでしょう。今年の十五夜は、ぜひすすきを飾って静かに月を見上げてみませんか。