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【龍空】ジャズが流れる寿司屋で感じた、音楽の魔法

改めて思う。音楽の力は本当にすごい。
先日訪れたお寿司屋さんでは、店内にジャズが流れていた。寿司といえば、静かな和の空間や職人の研ぎ澄まされた所作を想像しがちだが、そこではまったく違う世界が広がっていた。サックスの柔らかい音色と、ベースのリズムが心地よく響き、木の温もりあるカウンターにモダンな照明が映える。クラシックな寿司屋の厳かな雰囲気とは一線を画し、カジュアルでありながら上品な空気を漂わせていた。

 

職人は数名おり、皆、凛とした姿勢で寿司を握りながらも、どこか親しみやすい笑顔を見せてくれる。堅苦しさがない。客との会話も軽やかで、まるでジャズの即興演奏のようにテンポよく心地よいリズムで交わされる。音楽が場の空気をほぐし、人と人の距離を自然に縮めてくれるのだと実感した。

 

考えてみれば、ジャズと寿司は一見まったく関係のない存在だ。しかしどちらも「瞬間を生きる」芸術だという点で共通している。ジャズは即興の音楽。演奏者がその場の空気を感じ取りながら音を紡いでいく。一方、寿司もまた、その日のネタ、その時の客に合わせて職人が一貫一貫を仕上げていく。どちらも“今この瞬間”にしか生まれない表現であり、そこに共鳴がある。

 

ジャズの自由なリズムが寿司の繊細な味わいを引き立て、寿司の静かな美しさが音楽の深みを際立たせる。そんな不思議な調和が、食事を単なる「食べる時間」ではなく「体験の時間」へと変えていた。

 

音楽が変わるだけで、空間の印象も人の気持ちも、まるで別の世界になる。改めて、音楽の持つ力――それは、文化を越え、人と人をつなぐ普遍の魔法なのだと感じた。

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