【龍空】夕立は馬の背を分ける―自然が教えてくれる不思議な境界線
「夕立は馬の背を分ける」
夏の夕暮れ時
急に空がかき曇り
激しい雨が降る「夕立」。
このことわざは
その雨がごく限られた地域にだけ
降る様子を表したものです。
文字通り
一頭の馬の背中を境に
片方はびしょ濡れ
もう片方はまったく濡れていないという
極端な天気の違いを描いています。
実際に
近くで雨が降っているのに
自分の頭上だけ晴れている
そんな経験をしたことがある方も
多いのではないでしょうか？
まるで
「見えない境界線」があるかのように
自然はときに不思議で
そしてユーモラスです。
このことわざは
単に気象現象の面白さを
伝えているだけではありません。
現代では
「状況や立場の違いによって
同じ出来事でも感じ方がまるで違う」
という比喩としても使われます。
たとえば
同じ会社にいても
ある部署は
業績好調で笑顔があふれ
隣の部署は
トラブル続きで沈んだ空気が漂っている。
ある家庭では
夏休みを満喫しているのに
隣の家では
受験勉強に追われている。
人間社会にも
「馬の背を分ける」ような境目は
あちこちにあるのです。
その境界に気づけるかどうか
それが人との関係を深める
ヒントになるのかもしれません。
自分が「晴れ側」にいるとき
すぐ隣にいる誰かが「雨側」
にいることに気づけるか。
そして、もし気づけたなら
ひと言でも声をかけることができるか。
そんなちょっとした意識が
日常を優しくしてくれます。
また
人生そのものにも通じます。
雨が降ることもあれば
晴れることもある。
そしてそれらは
時にほんの一歩の違いで変わる。
だからこそ
今の状況に一喜一憂しすぎず
流れを見守ることも
大切なのかもしれません。
夕立は馬の背を分ける。
それは自然が教えてくれる
偶然と境界
そして思いやりのことわざです。
