
【龍空】完璧の故事と人生観
「完璧」という言葉は、
日常生活でもよく耳にします。
仕事で「完璧を目指そう」と言ったり、
人間関係で「完璧な人はいない」
と語ったりしますが、
その由来は中国の戦国時代にさかのぼります。
趙の国に「和氏の璧」という
天下の宝玉がありました。
秦王は
「十五の城を与えるから差し出せ」
と迫りますが、
実際には
城を渡すつもりがありませんでした。
そこで使者として立ったのが
藺相如(りんしょうじょ)です。
彼は相手の腹を読み、
知恵と勇気を駆使して璧を
無事に趙へ持ち帰りました。
これが「完璧帰趙」、
すなわち「璧を完全な姿で帰す」
という故事です。
ここから「完璧」という言葉が生まれました。
この逸話を人生観に重ねてみると、
興味深い学びがあります。
まず、完璧とは「欠点が一切ない」
状態を指すのではなく、
「大切なものを守り抜いた結果」
としての完全さだということです。
藺相如は強国の圧力に屈せず、
自分にできる最善を尽くしました。
その姿勢こそが「完璧」と呼ばれたのです。
四柱推命の視点で言えば、
人の命式に「完璧」は存在しません。
五行のどれかが必ず強すぎたり、
弱かったりします。
しかしそれは欠陥ではなく、
個性であり課題です。
足りない部分を意識し、
環境や人との関わりの中で補っていくことで、
その人らしい「完璧」に近づいていきます。
人生においても同じです。
すべてが思い通りに
整うことはありませんが、
「いま自分にできる最善を尽くす」ことが、
結果的に大切なものを守り、
後に「完璧だった」と
振り返れる経験をつくります。
つまり完璧とは、
静止した理想の状態ではなく、
努力と工夫の積み重ねによって
築かれる動的なもの。
欠けや弱さを受け入れながら、
自分らしい人生を全うすることこそが、
本当の「完璧」なのかもしれません。