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【龍空】実りと繁栄の歴史――栗が縁起物となった理由

栗は縁起の良い食べ物の由来

秋の味覚として親しまれている「栗」。ほっくりとした甘みと香ばしさで、季節を感じさせる食材ですが、実は古くから「縁起の良い食べ物」としても知られています。その由来をたどると、日本の歴史や文化、そして人々の祈りの心に深く結びついていることがわかります。

 

栗は縄文時代から日本人の食生活に根付いていました。当時から保存性が高く、栄養価にも優れていたため、「実り」や「豊穣」の象徴とされてきました。秋の収穫祭である「新嘗祭」や「秋祭り」に供えられたのも、自然への感謝と翌年の豊作を願う意味が込められていたからです。

 

また、栗は戦国時代にも「勝ち栗(かちぐり)」として武士たちに縁起物とされていました。栗を乾燥させて作る「搗(かち)栗」は、保存食として兵糧にもなり、「勝ち」を意味する「かち」と語呂が良いことから、「戦に勝つ」「運を開く」象徴として重宝されました。武将たちは出陣前に勝ち栗を食べ、勝利を祈願したと伝えられています。このことから、栗は「勝負運」や「成功運」を高める食べ物として現在まで受け継がれています。

 

さらに、栗は「子孫繁栄」や「家の繁栄」を願う縁起物でもあります。栗の実は一つのいがの中に複数の実が育つことから、「多くの恵み」「豊かな家庭」の象徴とされ、お祝いの席にも欠かせません。おせち料理の「栗きんとん」には「金運」や「豊かさ」を願う意味が込められています。「きんとん(金団)」という字が示す通り、「黄金の財宝」のような輝きを持ち、商売繁盛や金運上昇を象徴しています。

 

このように栗は、古代から現代に至るまで「実り」「勝利」「繁栄」「金運」といった多くの吉兆を象徴してきました。秋に栗を食べることは、単に季節の味を楽しむだけでなく、自然と共に生きてきた日本人の「感謝」と「願い」を受け継ぐ行為でもあるのです。

 

ほくほくとした栗の味わいの中には、先人たちの祈りと幸福への思いが詰まっています。秋の恵みに感謝しながら、栗を味わうひとときに、そんな歴史と縁起の力を感じてみてはいかがでしょうか。

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