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【龍空】寿司は舌で味わい、ことばで粋を楽しむ

江戸から続く寿司屋ことば

寿司屋に行くと、独特の言葉が飛び交います。お茶は「あがり」、生姜の甘酢漬けは「ガリ」、わさびは「なみだ」、そして醤油は「むらさき」。一見すると暗号のようですが、これらはすべて江戸時代から続く寿司屋文化に根づいた呼び方です。

 

あがり

寿司屋のお茶を「あがり」と呼ぶのは、芝居小屋の「上がり番茶」に由来します。観劇や食事の締めくくりに出されるお茶をそう呼んだことから、寿司屋でも食事の最後に飲むお茶を「あがり」と言うようになりました。寿司の脂を洗い流し、余韻を整える役割も持っています。

 

ガリ

寿司の脇役として欠かせないのが生姜の甘酢漬け。これを「ガリ」と呼ぶのは、食べたときに「ガリッ」とした歯切れの良い音から来ています。ガリは口の中をリセットし、次の寿司をより美味しく楽しむための大切な存在です。

 

なみだ

ツンと鼻に抜けるわさびは「なみだ」。その辛さで涙が出ることから、江戸っ子たちは洒落っ気を込めてそう呼びました。寿司にわさびをきかせるのは、味のアクセントだけでなく、魚の生臭さを抑え殺菌作用を期待する知恵でもあります。

 

むらさき

寿司を味わうときに欠かせない醤油は「むらさき」と呼ばれます。これは醤油の色が紫に近いことから生まれた表現。紫は古来、高貴な色とされ、寿司にとっても特別な調味料であることを示しているのです。

 

まとめ

寿司屋の「あがり・ガリ・なみだ・むらさき」という呼び方は、単なる隠語ではなく、江戸の粋と遊び心が生んだ言葉たちです。これらを知って使うことで、寿司屋での時間が少し特別に感じられるはず。次に寿司屋へ行ったときは、ぜひ粋に「あがりお願いします」と声をかけてみてはいかがでしょうか。

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