【龍空】戒驕戒躁 ― 驕らず焦らず、心を整える生き方
「戒驕戒躁(かいきょうかいそう)」という言葉をご存じでしょうか。
これは中国の古典に由来する四字熟語で、「驕(おご)りを戒め、躁(あわ)てることを戒める」という意味です。つまり、「成功してもおごらず、失敗しても焦らない」――この心構えを持ち続けることの大切さを説いています。現代社会ではこの言葉が「座右の銘」として人気を集めています。
私たちは日々、成果や評価に一喜一憂しがちです。仕事で成果を上げれば自信が生まれますが、その自信が慢心に変わると、人の意見を聞かなくなり成長が止まってしまう。逆に、思うように結果が出ないと焦って空回りし、冷静な判断を失ってしまうこともあります。そんな時にこの「戒驕戒躁」の教えを思い出すと、心のバランスを取り戻せるのです。
この言葉を広めたのは、中国清代の名君・康熙帝といわれています。彼は皇帝という最高の地位にありながら、「自らを戒め、慢心せず、常に冷静であれ」と息子たちに教えました。その姿勢が長期の安定政権を築く礎となったとも言われています。まさにリーダーとして理想的な心の持ち方でしょう。
現代においても、「戒驕戒躁」はビジネスの場や人間関係で通用する普遍的な教えです。SNSなどで他人と自分を比べやすい時代、焦る気持ちや優越感に流されず、自分のペースで努力を重ねることが求められています。謙虚であり続ける人は周囲から信頼され、冷静でいられる人は困難にも強いのです。
一歩進んでは心を静め、自分を省みる。その繰り返しが、確かな成長につながります。
「戒驕戒躁」――この言葉を胸に、驕らず、焦らず、淡々と努力を積み重ねていきたいものです。

