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【龍空】泰然自若──心の揺れを鎮める生き方

「泰然自若(たいぜんじじゃく)」という言葉は、古くから日本人の心に響く美しい四字熟語の一つです。その意味は、「どんな事が起きても落ち着いて動じないさま」。外の世界がどれほど荒れていようと、心は静かに澄みきった湖のように保つという境地を表しています。現代の忙しい社会において、この言葉を座右の銘に掲げる人が増えているのも納得できます。

 

たとえば、仕事でトラブルが起きたり、人間関係で誤解を受けたりすると、多くの人は感情的になりがちです。しかし「泰然自若」の人は、焦らず、冷静に物事を見つめ、最善の対応を考えます。心が乱れれば判断を誤りますが、落ち着きを保てば、見えてくる景色も変わります。これは単なる「我慢」や「無関心」ではなく、心の芯に確かな強さを持っているからこそできる態度です。

 

この言葉の由来には、「泰然」はゆったりと落ち着いた様子、「自若」は自分を失わず自然体でいること、という意味があります。つまり、泰然自若とは「外に動じず、内に乱れず」という理想の精神状態なのです。禅の教えにも通じる考え方で、「静けさの中に強さがある」という日本人の美徳を象徴しています。

 

使い方の例としては、「彼は周囲の批判にも泰然自若としている」「どんなプレッシャーの中でも泰然自若に振る舞う」といった表現が挙げられます。ビジネスやスポーツの世界でも、この言葉は高く評価される姿勢を表しています。緊張する場面ほど、泰然自若でいられる人は信頼され、リーダーとしての存在感を発揮します。

 

現代社会は、スピードと変化に満ち、心がかき乱されやすい時代です。そんな中で「泰然自若」を座右の銘に持つことは、常に心のバランスを保ち、自分を見失わないための指針になります。何があっても動じない強さ――それは感情を押し殺すことではなく、自分の中に確固たる静けさを築くこと。泰然自若とは、まさに「心を整える智恵」なのです。

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