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【龍空】緑を青と呼ぶ国のことば

「青葉」「青信号」「青りんご」
日本語では、実際には
「緑」に見えるものを
「青」と表見することが
少なくありません。

この現象に
違和感を持つ外国人は多く
日本語を学ぶ人にとっても
一つの謎のようです。

でもこれは
単なる言い間違いでも誤用でもなく
日本語の色彩感覚や
歴史に深く関わっているのです。

 

古代の日本語には
今のような色の細かな区分が
ありませんでした。

 

「青」は、現代でいう
青と緑の両方を含む広い概念でした。

そのため
草木の葉のようなものも
「青」と呼ばれていたのです。

「青葉」や「青々とした草原」
という表現に残るように
「青」は生命力あふれる
若々しさや新鮮さをも
象徴していました。

 

こうした色の捉え方は
現代の感覚とは少し異なりますが
日本人の自然との距離感や感性をよく
表現しているとも言えます。

色を科学的に分類するのではなく
見る者の印象や
意味付けを重視する。

その結果
葉の色は「青葉」
未熟な果実は「青りんご」
進めの信号も「青信号」
と呼ばれるようになったのでしょう。

 

日本語には
色名の詩的な使い方が多く
たとえば
「白む空」や
「黒い噂」のように
色は単なる視覚的な
要素以上の意味を担っています。

そう考えると
「青い葉」という表現も
単に色を言い表すだけではなく
そこに若さや季節感
生命のエネルギーまでも
込めた言葉なのかもしれません。

 

「青は緑を含む」
その曖昧さの中にこそ
日本語の奥深さや
日本人の美意識が
息づいているように思うのです。

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