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【龍空】親しみの野菜カボチャ、その呼び名に隠された歴史とは

秋の食卓を彩る野菜といえば、
ホクホクとした甘みが魅力のカボチャです。

ところで、このカボチャを昔から
「南京(なんきん)」と
呼ぶことをご存じでしょうか。

なぜ「南京」という
名前が付けられたのか――
その由来をたどってみると、
食文化や歴史の面白さが見えてきます。

 

カボチャの原産地はアメリカ大陸。

16世紀、
大航海時代にヨーロッパを経て
アジアに広まりました。

日本には17世紀初め、
南蛮貿易のルートを通じて
持ち込まれたといわれています。

そのとき、
カンボジア経由で伝わったことから、
当初は「カンボジア瓜」
と呼ばれていたそうです。

これがなまって「カボチャ」
となったと考えられています。

 

では「南京」という
呼び名はとうでしょうか。

当時、中国の南京は
アジア貿易の要衝と知られ、
多くの異国の品が「南京渡り」として
日本に伝えられていました。

つまり、
必ずしも南京産というわけではなく、
「舶来の珍しいもの」を指す言葉として
「南京」が使われていたのです。

たとえば、
「南京豆」(ピーナッツ)、
「南京玉簪」(ガラス細工)
なども同じ由来です。

カボチャもそのひとつであり、
異国から来た珍しい野菜として
「南京」と呼ばれるようになりました。

 

やがて江戸時代に入り、
カボチャは栄養価の高い
保存食として庶民に広まります。

特に冬至に食べる習慣は、
風邪予防や無病息災を願う
民間信仰と結びつき、
今日まで続いています。

「南瓜(なんきん)」という漢字も、
当て字として定着しました。

 

こうして歴史を振り返ると、
カボチャが単なる野菜ではなく、
世界を旅して日本の食文化に
根付いた存在であることがわかります。

「南京」という響きには、
異国への憧れと同時に、
私たちの先祖が海外との交流を通じて
新しい味を受け入れてきた歴史が
刻まれているのです。

秋の食卓に並ぶ
カボチャ料理を味わいなから、
その名前の由来にも
思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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