【龍空】騙されない力を育てる:信じる心と疑う勇気
毎日のように詐欺事件のニュースが流れています。電話やメール、SNSを通じて人の心につけ込む巧妙な手口が増える中、「自分は大丈夫」と思っている人ほど、実は危険かもしれません。騙されやすい人には、いくつか共通する特徴があります。
まず、人を信じやすいという点です。これは一見、長所でもありますが、詐欺師にとっては好都合な性格です。善意で人を信じる人ほど、相手の言葉を疑うことができず、「困っているなら助けてあげたい」と思ってしまいます。詐欺師はその心理を巧みに利用します。
次に、判断を他人に委ねる傾向がある人です。自分で考えるより、「専門家だから」「有名人が言っていたから」と権威に頼ってしまうタイプは危険です。詐欺師は“肩書き”や“立場”を装って信頼を得ようとします。「銀行員を名乗る電話」「行政のような通知」など、信頼の看板を使われると疑いづらくなるのです。
また、欲や焦りに流されやすい人も狙われやすいです。「楽して儲かる」「今だけ」「あなた限定」といった言葉は、冷静な判断を奪います。詐欺は“感情の揺れ”に乗じて仕掛けられるものです。焦り・不安・期待──これらの感情を自覚できるかどうかが、騙されるか否かの分かれ目です。
そして、孤独な人も危険です。誰かに話を聞いてもらいたい、認めてもらいたいという気持ちに漬け込む「恋愛詐欺」や「投資詐欺」が後を絶ちません。人とのつながりが希薄なほど、悪意ある相手の言葉が心の隙間に入り込みやすくなります。
では、どうしたら騙されないのか。
大切なのは、「自分だけは大丈夫」と思わないことです。詐欺師は人間心理を研究し尽くしています。自分の心のクセを知り、少しでも違和感を覚えたら一度立ち止まること。「家族や友人に相談する」「検索して確認する」──この一手間が大きな防波堤になります。
人を信じることは悪ではありません。しかし、「信じる」ことと「確認する」ことは別です。冷静さと疑う勇気を持つこと。それが、詐欺の時代を生き抜くための最大の防御となるのです。

