
【龍空】10月10日は銭湯の日 ― 公衆浴場の歴史と楽しみ方
10月10日は「銭湯の日」。語呂合わせの「1010=せんとう」から制定されたこの日は、日本人にとって身近な文化である公衆浴場を思い出すきっかけとなります。
そもそも銭湯の起源は奈良時代にさかのぼるといわれています。当時は寺院に付属する「浴堂(よくどう)」が一般的で、入浴は身を清める宗教的な意味合いが強いものでした。その後、江戸時代に入ると町人の生活の中に風呂屋が普及し、庶民が気軽に立ち寄れる「憩いの場」として発展していきます。明治以降は全国に広がり、戦後の復興期には町ごとに銭湯があり、地域の人々の交流の場となりました。
しかし現代では、家庭にお風呂が備えられるのが当たり前となり、銭湯の数は年々減少しています。ピーク時には全国に1万件以上あった銭湯が、現在では数千件にまで減ってしまいました。かつてのように「生活必需品」としての役割は薄れつつあるのが現実です。
その一方で、時代と共に進化したのが「スーパー銭湯」。広々とした大浴場や露天風呂、サウナに岩盤浴、さらには食事処やリラクゼーション施設まで備え、単なる入浴にとどまらない「癒やしのテーマパーク」として人気を集めています。ファミリーや友人同士で訪れるレジャー施設として定着し、銭湯文化の現代版ともいえる存在です。
昔ながらの銭湯を楽しむコツ
富士山のペンキ絵を眺める:銭湯といえば壁に描かれた雄大な富士山。湯船につかりながら心がほぐれます。
番台との会話:昔ながらの番台で交わすひとことが温かい思い出に。
湯上がりの一杯:定番はフルーツ牛乳やコーヒー牛乳。腰に手を当てて飲むのが粋です。
地域の人との交流:自然に生まれる会話から、その土地の人情を感じられます。
スーパー銭湯を満喫するコツ
お風呂めぐりを楽しむ:炭酸泉やジェットバス、露天風呂など、種類豊富なお湯を順番に入るのがおすすめ。
サウナ+水風呂で“ととのう”:近年ブームのサウナは、スーパー銭湯の目玉。水風呂と休憩を組み合わせればリフレッシュ効果抜群です。
食事処でゆったり:湯上がりに味わう定食やビールは格別。お風呂と食のセットが魅力です。
癒やしの追加メニュー:岩盤浴やマッサージ、エステなどを利用すれば、一日中過ごせる充実感があります。
公衆浴場は減少傾向にありますが、昔ながらの温もりと現代的な快適さの両方が楽しめるのが、今の入浴文化の面白さです。
10月10日の銭湯の日には、ぜひ近くの銭湯やスーパー銭湯を訪れ、日本独自の入浴文化を改めて味わってみてはいかがでしょうか。