
【龍空】9月8日は菊の日―花とともに紡ぐ日本の文化
9月8日は「菊の日」と
呼ばれることをご存じでしょうか。
菊といえば秋を代表する花であり、
日本の文化や歴史に深く
根付いてきた植物です。
この日に
「菊の日」が定められた背景には、
古来からの風習や吉祥の象徴としての
意味が込められています。
菊は奈良時代に中国から日本へと
伝わったとされています。
当時、中国では「菊を長寿の花」と考え、
菊を酒に浮かべて飲む
「菊酒」の習慣がありました。
日本でも平安時代になると、
宮中で9月9日に「重陽の節句」として
菊を用いた行事が行われるようになり、
菊は不老長寿や邪気払いの象徴として
尊ばれるようになったのです。
では、なぜ9月8日が「菊の日」なのか。
これは江戸時代に遡ります。
1683年(天和3年)、
8代将軍徳川吉宗の時代に、
後に「寛永の三筆」と
称される書家・本阿弥光悦が、
菊を愛でる文化を広めたことが
きっかけとされています。
また、江戸の町では
9月9日の重陽の節句の前日、
つまり9月8日に菊を飾ったり、
菊見の宴を開く風習が広まっていました。
そこで9月8日を「菊の日」として
祝うようになったと伝えられています。
菊は、日本の国花でもあり、
皇室の紋章としても
用いられる特別な花です。
そのため「菊の日」は、
単なる花の記念日ではなく、
長寿や繁栄を願う日としての
意味合いが強いのです。
現代でも、菊花展や菊人形など、
秋の風物詩として
菊を楽しむ行事は各地で続いています。
9月に入り、
少しずつ秋の気配を感じるころ。
9月8日の「菊の日」には、
庭先に咲く菊に目を向けたり、
季節を感じながらお茶やお酒に
菊の花を浮かべてみるのも素敵です。
古来から受け継がれる
花文化に触れることで、
日常に彩りと豊かさを感じられるでしょう。