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【曽我部キキョウ】「あなたのため」は誰が決めるのか ~愛情と支配のあいだ

ペットは家族だから。

それだけの愛情を注ぐことは

悪いことではなく

むしろいいことかもしれません。

 

けれども、人間に対するように、

服を着せてあげて、

可愛くトリミングして、と

お世話をしてあげることが

本当にペットの望んだことでしょうか。

 

この答えはおそらく永遠に出ません。

 

人間は人間であって、

ペットは違う進化を歩んできた

別の生きものです。

 

意思疎通をしているつもりでも

本当のところは分からないのです。

 

人は相手の気持ちを想像し、

きっと喜ぶに違いない、と思うことを

愛情表現として、実行します。

 

これは人の愛情表現として

間違っているわけではありません。

 

けれども、ときにそれは

自分の価値観を投影したもので

相手が本当に望んでいることとは

ずれてしまうこともあります。

 

この構造は、飼い主とペットの

関係だけではありません。

 

例えば親から

「あなたのためだから」と言って、

いい大学への進学や

大企業への就職を強制に近い形で

勧められた人もいるのではないでしょうか。

 

言うまでもなく親と子は別人です。

 

親は自分の子が苦労しないように

「いい大学」や「大企業」を口にします。

 

けれども、子ども本人の

本当の望みを知ってはいません。

だからここで出てくる「いい大学」や「大企業」は

親の価値観から見ての「子どものためになる」です。

 

子どもの望みと一致しているかは

別の話なのです。

 

こうしてみると、愛情表現は

支配と紙一重、

その境目は極めてあいまいです。

 

人は誰か、あるいは何かを愛すると

その人の幸福を想像し、

そのために何かをしたくなります。

 

それ自体は自然なことです。

 

ただ、それが自分の価値観に基づいたものだと、

自覚することが大事になってきます。

そうすることで、押しつけや支配ではなく

愛情になるからです。

 

自分の正しさだけで判断し、

「あなたのために」という前に

少しだけ立ち止まってみてください。

 

相手が本当に望んでいることは何なのか。

それを自分は本当に分かっているのか。

 

これらを考えることが

相手を尊重することに

つながるのではないでしょうか。

 

選べる道を増やす、もう一つの見方を
曽我部キキョウ

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