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【曽我部キキョウ】「もう少し待って」が奪うもの 

「もう少し待って」が奪うもの ~人は時間より判断を失う

 

まずは質問です。

待ち合わせ相手が2時間遅れると言いました。

あなたはどうしますか。

 

カフェやショッピングなどで時間を使うか

あるいはスケジュール変更をして家に帰るか

とにかく待ち合わせ場所に

じっと立っていることは少ないでしょう。

 

ところが同じ2時間でも

「ごめん、少し遅れそう。10分待って」

これを12回繰り返されるとどうでしょう。

 

10分程度なら、ここで待っていればいいか。

 

そういう気持ちで、

相手が来ることを期待して待ち、

もうそろそろ来るかな、というタイミングで

「ごめん、もうちょっと遅れる。あと10分」

と言われるのです。

 

これは苛立ちます。

 

待っている時間は同じ2時間。

ですが、「あと10分」が重なる場合、

もうすぐ来るかも、と思うと

その場を動けません。

 

こうした状況で奪われるのは

実は時間だけではないのです。

 

待つ側は、自分で決める権利を

奪われています。

じっとただ待つしかない状態を

強いられているようなものですから。

 

これは、待ち合わせに限ったことではありません。

 

仕事だと、よくあるのが昇進や異動の話です。

もうすぐだから、今回は待って。

そう言われ続けて数年。

 

あるいは恋愛だと、

いつか結婚しようと度々言われるけれど

具体的な時期は出てこない。

 

ここで問題なのは、

「いつか実現するかどうか」ではありません。

そうなる見通しが今はないのに

見通しがあるかのように言うことです。

 

悪意なく、親切で言ったとしても

言われた方は判断を保留にして

待つことになります。

 

この場合、誠実な対応というのは

本当のことを知っているか、

言っているかではありません。

 

もっと大事なのは

現時点で分かっていることと

分からないことを

区別して伝えることです。

 

待ち合わせなら

何時になるか分からない。

仕事のことなら

約束はできない、といった具合に。

 

冷たく聞こえるかもしれません。

しかし相手はそれで、

自分の選択ができるようになります。

 

相手の時間を大切にしようとすると

約束を守ることにばかり考えがちです。

 

しかし、相手が自分で判断できる状態も

時間同様か、あるいはそれ以上に大切なもの。

 

だからこそ、分からないことを

「分からない」と伝えることで、

相手の判断する権利を

尊重することにもなるのです。

 

 

※過去の記事はこちらでご覧いただけます。

※ほしよみ堂の記事はこちらからどうぞ。

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