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【曽我部キキョウ】一生分食べたら、それを嫌いになるって本当ですか

ときどき、誰かがある食材に対して

「それはもう一生分食べたから嫌いになった」

ということを言います。

 

しかし、遺伝子や生理的なメカニズムで

あらかじめ人が一生で摂取できる総量が

決まっているような食材はありません。

毒物ではない限り、ですが。

 

ではなぜ、たくさん食べ過ぎると

嫌いになってしまうのでしょう。

 

その理由は大きく分けて3つあります。

 

まず、繰り返し体験することで、

特定の「おいしさ」という刺激を

脳が価値のある報酬とみなさなくなり、

結果として快楽反応が消失します。

 

それを食べても嬉しく感じないわけです。

だから、食べたいと思わなくなる。

 

あるいは過剰な摂取が問題を起こすことも。

 

胃もたれ、腹痛などを起こしたことを

脳が「この食材は有害だ」と学習し

次にその味やにおいがしたときに、

強い拒絶感が生じてしまいます。

 

最後に、特定の食材を、ある状況下で

「食べなければならなかった」場合です。

 

その食材とネガティブな記憶や

精神的なストレスが結びついて

状況が変わっても、心理的な防衛反応として

その食材を避けることがあります。

 

物理的な限界はなくても、

「もういい」と思う理由はできるのです。

 

さて、ここまでは食べ物の話でしたが、

何となく、人間関係にも

こんな感じのことがあったような、と

思いませんでしたか。

 

実は同じようなメカニズムが働きます。

 

パターン化されたコミュニケーション、

特定の人との、変化のない関係は

繰り返され過ぎると

その価値を失ってしまいます。

 

脳の報酬系が、

ポジティブな感情が得られない関係と判断し

関心を完全にシャットアウト。

 

過剰摂取による胃もたれなどと同様

度重なるストレスや境界線の侵害によって、

脳は相手を脅威であり、

ストレスの源として学習します。

 

結果的に、似たような人に対しても

自律神経が警戒モードに入って、

拒絶反応を起こし、距離を置こうとします。

 

最後のネガティブ経験も同じです。

 

家族関係や過剰な依存関係など、

関係の維持をせざるを得なかった経験は

その環境から抜けた後も、

あのような人間関係はこりごり、となります。

 

人間関係は、食材と違って、

自分だけでは完結しません。

 

だからこそ、人間関係の場合の

「一生分味わった」という感覚は

自己を防衛するための

きわめて健全なブレーキなのです。

 

誰かに対して「生理的に無理」というとき、

根拠のない直感ではなく、

過去の類似体験から

脳が学習している可能性があります。

 

他人から見ると訳の分からない嫌悪感も、

本人にとっては、自分自身が意識するより早く

脳が警報を鳴らしている状態かもしれません。

 

自分でも訳の分からない

「あの人は無理」があったとしても、

それは自分の狭量を

責めるようなことではないのです。

 

 

選べる道を増やす、もう一つの見方を

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