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【曽我部キキョウ】人生は道なのか、航海なのか ~比喩から見る世界

人生は何かに例えられることが良くあります。

 

人生は航海だ。

この例えを聞いたことがある人も

多いのではないでしょうか。

 

ただ、日本だと、この言葉は少々違和感があります。

 

冬の日本海を想像してください。

「人生は航海だ」なんて、言えますか?

船や気候によっては

生死をかけた壮絶な旅路です。

 

多くの人が思い浮かべる人生とは

少し違っています。

 

この「人生は航海」という比喩は

西洋から入ってきたもので、

地中海の文化の影響が大きいと

言われています。

 

古代から地中海は、

交易船が行きかう場所でした。

けれども、嵐もありますし、

船も人間の思い通りには動いてくれません。

 

思い通りにならない、

けれど目的地は分かっている。

そこにたどり着くための旅。

 

こうしてみると、昔の地中海沿岸の人たちが

人生を航海になぞらえても

不思議はありません。

 

一方の日本はというと。

 

日本人にとっては海そのものが

外界と隔てるところであり

海の向こうはあの世、みたいな思想もあります。

 

日本人的思考を元に人生を例えると

やはり人生には峠越えがあるとか、

街道を歩く旅のようなもの、になります。

 

明治以降に西洋の文学や哲学を

ものすごい勢いで翻訳したとき、

たくさんの比喩表現も入ってきました。

 

しかし、実際に身体感覚として

共有しているかは怪しいものです。

 

羅針盤を頼りに海を渡るような旅を

したことがない人でも、

言葉としては使っています。

 

けれども、道をひたすら歩く、

ときには分かれ道もある、などと言うと

突然情景が浮かび

ああ、なるほど、と納得できます。

 

その例えは一体どこから来たのか。

これを考えると、

その比喩が生まれた当時や国の、

価値観が見えてきます。

 

比喩と言えば説明のための方法だと

思いがちですし、それは間違っていません。

 

しかし同時に、人が世界をどう見るか、

ということも比喩として現れてきます。

 

人生を航海に例えても、道に例えても、

あるいはマラソンやゲームや舞台でもいいでしょう。

 

その比喩には、人が世界を

どう理解しているかの痕跡があるのです。

 

 

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