【曽我部キキョウ】夕立は夕方には来ない ~名前はそのまま、中身は変わる
夏の夕方、彼方に見えた積乱雲が
いつの間にか大きく発達し、
だんだん空が灰色になって
雷が鳴り始める。
かつての夕立のイメージは
こんな感じでしょうか。
その名の通り、「夕立」とは
夕方に降る雨や雷雨でした。
ところが今は、夕方に限りません。
早朝の時もあれば、夜中の時も。
もちろん昼間もあります。
それでも夏の通り雨や
一時的な雷雨は「夕立」なのです。
名前は変わっていません。
「夜なべ」という言葉も
今どき夜に鍋を囲炉裏にかけて
そのそばで作業するなんてありません。
けれども、夜遅くまでコツコツと作業したら
夜なべした、なんて言うことがあります。
このように、内容は変わっているのに
言葉は変わらないものが
実はけっこうあります。
言葉がそのままでも、
通じてしまうものです。
その言葉にまつわるイメージが
ある程度共有されていると
内容に変化があっても
見逃されてしまいがちということです。
これは人の性格にも言えます。
小さいころにクラスメイトとなじみにくく、
小学校の先生が三者面談などで
親に向かって「○○ちゃんは人見知りですね」と言っていたら、
自分は人見知りなんだ、と思ったことでしょう。
その「人見知り」という言葉は
ある種のラベルです。
「わたしって、人見知りで」
「怒りっぽい性格なので」
そんな風に自分の性格に
ラベルを貼ってしまうことは
よくあることです。
けれども、そこから成長し、
たくさんの経験を積む中で
人と気軽に話せるようになり、
怒りを抑える方法を学んだりします。
そうして中身が変化しても、
「人見知り」や「怒りっぽい」は
ラベルとしてその人にまだ貼りついています。
自分はこんな人だ、というイメージは
実際とはかけ離れても
案外残るものだからです。
夕立や夜なべのように、
人も自分の性格につけた特徴を
長い間持ち歩いてしまうことがあります。
性格だから、変われないから。
そうでしょうか。
昔の自分が付けたラベルに
中身まで縛られることはないのです。
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