【曽我部キキョウ】親切は見つけることから始まる
親切は見つけることから始まる ~人は気付いた世界を生きている
近頃は優先座席付近で立っていても
あまり席を譲ってくれない。
亡き父が晩年にこぼしていたことです。
その頃の父は、ヘルプマークをカバンにつけ、
杖を突いていて、歳も90手前と
背筋こそ曲がっていなくても、
見てすぐわかる老人でした。
どうして誰も席を譲らないんだ、
なんて自分勝手なんだ、と
呆れるのは簡単です。
けれども、座っている人が
父の存在に気付いていたかは
疑わしいのです。
なぜなら、人は視界に入っている全てを
認識しているわけではないからです。
人の視界は、盲点を除けば
概ね180度ですが、
目の端にちらりと映るものを
「見ている」とは言いにくいでしょう。
視界に入っていても、
人の脳は機械とは違いますので、
注意がそちらに向かなければ
それが何かを認識しません。
そしてスマホの普及もあり、
電車内などでは、
周囲に注意を払っている人も減りました。
これはスマホのせいだけではありません。
余裕のない状況の中で疲労困憊し
電車などで座ったら寝る、という人も
増えていることでしょう。
このような背景の中、
どうも最近は人が親切ではなくなった、と
思えることも多そうです。
ところでこの「親切」も実は曲者です。
人は社会的な生き物ですから
ある程度は親切をするようにできています。
親切をして、親切をされて、おあいこ。
そういう意識が根付いているのです。
だから自分が困っていると
誰かが助けてくれると期待します。
このときの期待値が人によって違います。
ある人は道を尋ねたら
教えてもらえるのが当然。
また別の人は、同じように道を教えてもらって
なんて親切な人なんだ、と思う。
どこまでが「当然のこと」なのかという範囲は
かなり幅があります。
そして自分が「当然」と思っていることを
してもらえなかったときに、
人は相手を「冷たい」、「気が利かない」と
評価するのです。
期待するな、というのは
無理な相談です。
しかし、どこまで期待をしていいかは
考慮できるところではないでしょうか。
昔はみんな親切だった。
そう思うかもしれませんが、
社会自体が変わり
親切にする方向も変化してきています。
親切にしてもらえなかったとき、
すぐに相手を批判せず、
人は注意を向けているものしか見えない、
その脳の癖を思い出してもいいのではないでしょうか。
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