【曽我部キキョウ】「できません」「では、やってみてから考えましょう」
まだパソコンやワープロ(!)が
普及していなかった時代。
作家が少し書いては原稿用紙を
くしゃくしゃに丸めて床に投げる。
そうこうしているうちに
締め切りが近付くけれど、
原稿用紙は白いまま。
そんな光景を、ドラマなどで
見たことはありませんか。
挙句に編集者が登場し、
原稿をいただけるまで帰りません、と
家に居座る。
ここで、素人目にはミラクルとしか
言いようのないことが起こります。
作家は無理に何かを書こうとする。
そして突然ひらめきがあったかのように
猛烈に書き始める。
さっきまで、机に向かって
白い原稿用紙をにらみながら
書けないとうなっていましたよね!?
本人の能力が突然変わるわけもなく。
何かが取りついたわけでもなく。
何なら脳は極限まで疲労していて、
思考は停滞気味かもしれません。
作家ではない私が
この現象をどういうことだと
説明することは困難です。
けれども、人間が生活をしている中で
よく似たことが起こっているのを
ご存じでしょうか。
切羽詰まってくると、
これまで避けていたことを
しなくてはならないことがあります。
持てる知識と技術を総動員し、
何とかかんとか完了させるしかない!
そのとき、自分にはないと思っていた能力が
実は眠っていただけという場合もあります。
あるいは、全体像が見えなくて、
どこから手を付けていいか分からないとき。
そのまま放置してしまいがちです。
しかし、少しだけ試してみると
次の一手が見えてくることはあります。
これならできる!と自信がつく前に
行動をしなくてはならなくなれば、
自信の有無は関係なく、行動します。
すると、気付けばできていた、なんてことも。
作家の話に戻りますと、
たとえ本人が「もう書けない、無理」と思っても、
実際に「書けない」とは
イコールではありません。
人間の能力は、本人が完全に
把握しているわけではありません。
もちろん、能力や環境、支援その他、
様々な条件を総合的に判断して
それは不可能ということもあります。
しかし、人間の底力は
本人が「いや、無理だし」と思っても、
「そんなこと、できない」と感じても
そうとは限らないぐらいには
計り知れないものです。
何かを試す前に「無理」と判断するのは
少しだけ、もったいないかもしれません。
選べる道を増やす、もう一つの見方を
★★★曽我部キキョウ★ほしよみ堂★★★

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