【曽我部キキョウ】悲しみは愛情を測れない
悲しみは愛情を測れない ~愛を測る定規は時間ではない
世の中には自分自身のことではなくても
悲しいことがたくさんあります。
遠い国の戦争から、友だちの失恋まで。
心を痛めて、しょんぼりする日もあるでしょう。
しかし、人はいずれ立ち直ります。
ときには素早く、ある時は時間をかけて。
ところが、周囲の人は
思いがけず早く立ち直った人に
「もう元気なの?意外と平気なんだ」
などと、言外の意味を含めて言うことがあります。
逆にずっと悲しみに囚われている人を見ると
「それだけ愛情が深かったんだね。優しいね」
という意味の言葉をかけがちです。
私たちは、悲しみが長く続く人ほど、
愛情深いと考えがちです。
けれども、本当に悲しい時間と
愛情の深さは比例関係だと思いますか。
例えば、親を亡くした人が
ずっと「あの時に、こうしてあげられたら」と
自分を責めることがあります。
長く、悲しみから
立ち直ることができない状態ですが、
これは愛情なのでしょうか。
もちろん亡き親への愛はあります。
しかし同時に、
罪悪感や無念、
責任感なども混ざっています。
これは家族の話だけではありません。
失恋した友達を慰めているときも
最初は一緒に悲しみ、
心配もするでしょう。
けれども、いつまでも友だちと同じように
悲しんでいるわけではありません。
ある程度の時間がたてば
自分は自分の恋愛を楽しみ
笑うようになります。
だからと言って、友だちを
大切に思っていないわけではありません。
事故や災害の話を聞いて悲しく思っても
人は少しずつ日常へと戻っていきます。
それは、薄情なのではなくて
自分の人生があるからです。
愛情があるから、悲しい。
それはそうです。
けれども、悲しみだけでは
愛情を測ることができません。
一緒に過ごした時間や
相手を思っての行動、
感謝したこと、
そういう積み重ねの方が
愛情をよく表していないでしょうか。
亡くなった人が、もしあなたを見ているなら
自分を責め続ける姿と、
笑顔で自分の人生を生きている姿の
どちらを喜ぶと思いますか。
愛情は苦しみ続けることで、
証明するものではありません。
愛を測る定規は、時間ではないからです。
相手を大切に思っている事実は、
悲しみが薄れても
消えはしないのです。
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