【曽我部キキョウ】走り方が変わる瞬間 ~違和感は次の時代へのバトン
言葉というものは変化します。
時代を大きく隔てると
その違いは明らかで、
平安時代の言葉はもはや外国語感覚です。
けれども、人が生きている間程度の、
短い時間の中では、少し勝手が違っていて
「最近の若いもんは言葉が乱れとる」
になってしまいがちです。
例えば、今どきはごく普通に使われる、
「折り返しお電話させていただきます」という言い方。
丁寧な言い方だと思う方が
大半ではないでしょうか。
今どきの感覚からすれば
全く間違いではないでしょう。
別に間違っていると言いたいのではありません。
けれども、個人的に違和感は残ります。
「折り返し、電話をいたします」
の方が自然に感じるのです。
もう少し上の世代の方だと
「このきのこは食べれる」と誰かが言えば、
「食べられる」と言うんだけどな、と
苦い顔をしたかもしれません。
若い人たちは、
新しい言葉の使い方しか知りません。
だから、その言葉が自然なのです。
逆に年配の人になると
昔の言葉で育ち、そのまま使います。
では、その中間の世代ではどうでしょう。
昔の言葉も知っている。
今の使い方も分かっている。
そして、どう言うとよいのか、迷ってしまいます。
言葉の移り変わりは
まるでリレーのバトンをつないでいくようなものです。
どれだけきれいに走っていても
バトンを渡すときだけは少し走り方が変わります。
けれども、この不自然さがなければ
バトンは次の走者に渡せません。
中間世代が感じる、
新しい言葉への違和感こそ、
このバトンを渡す瞬間の不自然さに当たります。
誰もが若いときは
新しい言葉を使う側だったのではないでしょうか。
そして違和感を抱きながら
次の世代に言葉のバトンを渡すのです。
古い言葉も、新しい言葉も知っている人は
どちらの言葉を使えばいいか悩みます。
しかし、この迷いこそが
過渡期に生きる者の役目かもしれません。
これは、言葉に限ったことではありません。
文化や価値観も同じように
誰かが違和感を抱えながら
次の世代へとつないできました。
過渡期というものは、古くも新しくもない、
次の時代へバトンを渡すための時間なのでしょう。
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